1、リードスコアリングとは
マーケティングオートメーション(MA)の基盤になっている考え方がリードスコアリングです。感覚であいまいになりがちなリード顧客の「見込みのランク/確度/度合い」をポイントで定義してしまおうというものです。
例えば、製造業であれば10P、IT業であれば5P、100名以下の企業なら15Pのような形で、事前に設定したポイントを積み重ねて自動で加算減算し、「見込みのランク/確度/度合い」をポイント数で表します。
リードスコアリングとは、要はリード顧客が持っているデータの組み合わせによってポイントが決まる「ポイントのアルゴリズム」です。これらに対応する為に、現在のMAツールの台頭があります。
2、リードスコアリングに必要なデータの3分類
ひとくくりにデータといっても様々なデータがあります。一度登録をすると変わらない情報や、一方で日々変化をしていくような情報があります。
リードスコアリングを考える際に、整理するとわかりやすい「情報の種類」を3分類にまとめましたので解説致します。
A、日々動かないデータ
・業種
・規模
・立地
企業属性のようなデータです。
突然業種が変わったり、規模が大幅に変更する事はあまりないので、一度入れた情報はほとんど変わりません。
B、日々動きづらいデータ
・部署
・役職
・勤務年数
リード顧客のパーソナル属性のデータです。
部署異動や役職変更(出世)など1年に1回の動き程度が一般的ですので、一度入れた情報は頻繁には変わりません。
C、日々動くデータ
・対応履歴
・イベントや営業での接触履歴
・オンライントラッキング
・アンケートデータ
対応履歴や接触履歴などのデータです。
リード顧客へのアプローチ情報ですので、対応履歴や接触履歴は次々上積みされて頻繁に情報は変わります。
リードスコアリングのポイント破綻の原因1位は「C、日々動くデータ」への対応
リードスコアリングが破綻するほとんどのケースが「C、日々動くデータ」への対応がうまくできず、ついていけなくなるパターンです。ポイントの加算減算が思ったように機能しない事例です。
例えば、自社製品のターゲット(ペルソナ)ど真ん中の業種と規模のリード顧客「α」さんがいたとします。「Aの日々動かないデータ」でリードスコアリングがされていて業種10P+規模10Pの合計20P与えられていたとします。
ただ1ヶ月前に営業スタッフがアプローチしたところ「競合他社の製品を導入したので以後1年は連絡必要ないです」と言われたやりとりがあったとします。
この場合、業種+規模へのリードスコアリングの他に、「競合他社の製品を導入したので以後1年は連絡必要ないです」という対応履歴にもポイントが割り振られてなければなりません。
厳密にいうと「競合他社の製品を導入したので以後1年は連絡必要ないです」を「長期フォロー」のような属性としてまとめられる対応履歴に設定。さらに「長期フォロー」は-20Pみたいなポイント設定をする必要があるという事です。
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「α」さんのリードスコアリングの計算式
業種10P
規模10P
長期フォロー-20P
合計0P
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となりますので、業種と規模でペルソナど真ん中でも対応の結果、リードスコアリング上では「0P」で、しばらくは案件見込みがないという事がポイント上でわかるようになります。
対応履歴「長期フォロー」のポイントがきいてこないと「α」さんのリードスコアリングは常に20Pとなり、見込みランクや確度としては機能してきません。
ポイントの設定がされていても履歴が入力されていないような破綻例も多く見られます。どちらも「C、日々動くデータ」に対応できていないよくある例です。
リードデータは膨大で大量な情報量になるケースがほとんどです。膨大な大量のリードデータの中で「ポイントの未設定」と、「履歴の入力漏れ」が起こると「C、日々動くデータ」に一気に対応ができなくなり、結果、リードスコアリングのポイントは誰からも信用されず、廃れていく流れが多いのです。
こういった日々の対応履歴の定義と、膨大なリードデータの中から対応履歴や接触履歴を的確に把握していける運用体制を両立させる事ができなければリードスコアリングは成立しません。
3、どのようにリードスコアリングに手を付けていけばよいか
リードスコアリングは情報にポイントを設定する事はわかった。課題もわかった。ではどのように手を付けていけばよいのか。トップダウンで全社的にはじめる事が理想ですが、なかなか現実的には難しい企業も多いのも事実です。スモールスタートではじめる手順を記述します。
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リードスコアリングをはじめる10のステップ
<マーケティング単体稼働>
1、主体のマーケティングチャネルの施策結果にポイントを設定する
2、業種や規模など「日々動かないデータ」に対してポイントを設定する
3、部署や役職など「日々動きづらいデータ」に対してポイントを設定する
4、他のマーケティングチャネルの施策結果にポイントを設定する
<マーケティングと営業の連携稼働>
5、営業へパスした後の対面営業の結果に対してポイントを設定する
6、リード顧客へのフォロー状況は営業に必ず入力してもらう体制を構築する
7、対面営業後に案件化しなさそうなリードデータはマーケティングへ戻してもらう
8、リードデータをマーケティングに戻してもらう際にマイナスポイントを設定する
9、ポイント数で、マーケティングと営業の役割分担を決める
10、ポイント数で、マーケティングと営業が自動的にフォローする体制を構築する
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このような流れで少しづつ定義を固めていき、営業や他部署の連携を促して徐々にリードスコアリングの活用用途を広げていく事が理想です。
まずは自社で主体にしているマーケティングチャネルの施策結果へのポイント設定程度からはじめてみるのも良いと思います。最初は背伸びせず、メールマーケティング主体であれば開封率やクリック率にポイントを付与するくらいのシンプルなスタートが運用に乗りやすいように思います。
動かないデータや動きづらいデータは後付けでも機能させれますので、まずは「C、日々動くデータ」が機能する事に主眼を置くと良いと思います。
リードスコアリングを行うメリット
まず「見込みランク/確度/度合い」がポイントで数値化されている事で、社内でのリードデータに対する意識や認識が統一できます。「25Pか?まだ案件には遠そうだな」とかですね。
また今まではマーケッタースキルに依存する形で感覚的に行われていたマーケティング施策が、シナリオに沿ってチームで行えるようになります。属人的ではなく、かつ施策の品質を一定に保つ事ができるようになります。
リードスコアリングを行うデメリット?(というより難しい点)
デメリットはないのですが、ポイントの運用が難しいのがリードスコアリングの特長です。ポイントが機能しなくなってしまう事が多々あります。
最高ポイントが100Pで、最低ポイントが0Pで運用をはじめていても、すぐに100Pに到達するリード顧客が大量に発生してしまった。すぐにポイントがマイナスになってしまう。などですね。
ですのでリードスコアリングは一度ルールを決めたら終わりではなく、常にルールを最適化させていくPDCAサイクルが運用では必須になり、そのサイクルを維持する体制が必要になってきます。
まとめ
マーケティング作業を分担したい。ただフォローや施策の品質は下げたくない。まずはマーケティングセクションだけでもリードスコアリングの運用は可能です。
ぜひ一度取り組んでみてはいかがでしょうか。
参考資料
リードスコアリングを実施していく為には、ビッグデータの中で対応履歴や接触履歴を把握する「専用のリードデータマネジメントテクノロジ」が不可欠です。
サスケのリードデータマネジメントテクノロジが御社のリードスコアリングを実用的にします。