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B2CとB2Bで異なるマーケティングの役割「ゴールの違い」から考察する

佐々木 章乃

株式会社インターパーク マーケティングプランナー

現在は、クラウドサービスサスケ事業のマーケティング業務を担当。
イベントの企画・運営からWebマーケティングまで、幅広く業務を担っています。
銀行・人材コンサルティング会社を経て、インターパークへ入社。
5年以上の営業経験を踏まえ、マーケティングや営業についての考察を執筆しています。

対企業間取引を専門とするB2Bマーケティングとは

世の中にはたくさんの商品や製品があり、それらを世の中に広めていく為に、マーケティングやセールスの活動があります。企業向けのソリューションであるとか、個人向けのサービスであるとか、取引の形もいくつかに分類されます。


・企業と個人との取引を指すB2CBusiness to Consumer
・企業間取引を指すB2BBusiness to Business
・消費者同士が直接取引を行うC2CConsumer to Consumer


この中でもWebを活用したオークションやフリーマーケット市場の拡大から、消費者同士が取引を行う場を提供するC2Cビジネスはいまやバズワードとなっています。

今回はこういった取引形態の目線から、対消費者向けではなく、対企業間取引となるB2Bマーケティングを考察していきます。

目的、手法の観点から個人向けの取引と、企業間取引のB2Bマーケティングにはどのような違いがあるのか。特にゴールの違いを改めて認識する事で、戦略策定や施策選択に役立てて頂けるものと思います。


目的 

まずマーケティングのゴールから考えていくと非常に両者の特長がわかりやすいかと思います。


B2Cマーケティングの目的は「成約や受注」
B2Bマーケティングの目的は「ホットリード(優良見込み顧客)」の創出


B2Cマーケティングの場合は、ゴールがそのまま成約となるケースが多いです。

個人向けの商品の場合はわかりやすいものが多く、選択基準が「価格が高い安い」「嗜好品として好みであるか否か」「簡単な機能性で選択」など、ある程度少ない情報量でも、顧客の購入決断をマーケティング単独で導き出せるケースが多いからです。ECサイトのような例で考えて頂くとイメージしやすいかと思います。

一方でB2Bマーケティングの場合、ゴールは「自社の製品に興味のあるホットリード(優良見込み顧客情報)の獲得」となるケースがほとんどです。B2Cに比べてマーケティングのゴールを成約の何歩か手前に設定する事が一般的です。工程が複雑になりがちで、マーケティング単独で成約まで持っていく事は難しいのです。

B2B取引の場合は、対企業向けのソリューションで、かつ「ある業種や、ある業界」の企業に特化した専門性の高い製品やサービスである事が非常に多いのです。特定の業界の人は1億円払ってでも欲しい製品でも、一般の人から見ると無料でも要らないというような素人が見ると活用用途が全くわからない製品も数多くあります。

価格も高額で、専門性が高いので、人を介した詳しい製品説明や、複雑な契約交換、折衝が必要になり営業の介入が求められます。いわゆるマーケティングと営業の部署間連携がB2Bのビジネスでは大事になってくるのです。


手法

マーケティングと聞くと「集客」のイメージが強いですが、現代のB2Bマーケティングでは、集客だけに力を入れていても、効果を得る事は難しく、非効率で広告宣伝費などのコストの無駄にもつながります。

受注の種となるリードデータを取得するところから案件化までを一連の流れとして考えると、「集客→管理→育成」が、B2Bマーケティングにおける基本的な工程になります。

・リードジェネレーション(集客)
・リードデータマネジメント(管理)
・リードナーチャリング(育成)


「リードナーチャリング(育成)を実施しなければ2年以内に8割が競合流出」というデータがあるくらい集客と育成を両輪として回していかなければマーケティング効果が出しづらい時代になってきています。

また集客だけでは結果につながらない大きな要因のひとつに、「顧客の購買までの検討期間が長期化」という最近の市場動向も関係してきています。今までは製品の選定に1年かけていたのを、今は3年かけて製品を選定しているというような事です。これはWebの活用で、同じような競合他社の製品情報の情報収集が容易になり、評価に時間がかかるようになった為とも言われています。

「集客」とは、いわば自社のモノを購入してもらいたいタイミング(自社の都合)です。ただ顧客には、顧客のモノを購入したいタイミング(顧客の都合)があります。購買までの検討期間が長期化した事で「双方のタイミング」が一致する確率が低くなり、集客だけの工程では、顧客の購買サイクルに合わせていく事は難しくなっています。

そこで顧客の「購買タイミングを最適な形で待つスキル」育成のフローに力を入れる企業が増えてきているのです。

これも昨今、リードナーチャリング(育成)が注目を集めている大きな理由です。

B2Bマーケティングで大事な事は、ホットリード(優良見込み顧客情報)を創出して、営業へ安定的に供給する事です。その為に集客と育成の手法を絡め、様々な戦略や施策を実現する「足回り」となるリードデータのマネジメントもマーケティング領域では切り離せない分野になってきています。

また営業の介入が必要になるという事は、営業部とマーケティング部の連携が必ず必要になります。

その際にやみくもに営業へリード提供をするのではなく、受注に高確率で繋がるようなリードデータの供給。すなわちホットリード(優良見込み顧客情報)の質と量にもこだわっていかなくては、営業からの信頼が得られません。よくある「マーケティングからもらったリードは使えない」問題が発生します。

ホットリード(優良見込み顧客情報)を創出する為の研究と、マーケティング戦略策定の段階から営業を巻き込んでいく政治的な工夫もB2Bマーケティングには必要になってきます。


B2Bマーケティングの役割をまとめると…


・目的は「ホットリード(優良見込み顧客)」の創出

「集客」+「育成」をセットで考える

営業連携を前提にしたPDCAと戦略構築を


ホットリードを創出するためにどうするか?この一点にフォーカスして戦略や行動を集中させる事がB2Bマーケティングではもっとも大事な事になります。その為には、営業部との情報共有や実務連携も必須になってきます。円滑にマーケティングを機能させる為の施策としてインサイドセールスの採用もおすすめです。

<参考資料>

マーケティングと営業の潤滑油「インサイドセールス」を知るための10のステップ(前編)

マーケティングと営業の潤滑油「インサイドセールス」を知るための10のステップ(中編)

マーケティングと営業の潤滑油「インサイドセールス」を知るための10のステップ(後編)


リードのPDCAリードシナリオマーケティングオートメーションリードデータマネジメントリードジェネレーションリードナーチャリング

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