各社効率性を求めてマーケティング~営業~カスタマーサポートの業務の分業化が進んでいます。ただ一方で業務や業種の特性上、担当企業の商流からサポート工程を全て営業個人が受け持つ企業が多いのも現実です。
属人的な営業体制の企業でも活用できる営業の為のマーケティング術。
今回は「営業マン個人」としても取り組み始められる「マーケティング思考」がテーマです。
STEP1::流入経路を確認する
マーケティング思考といっても大掛かりの調査をしたり、組織やチーム全体の分析という大きな話しではありません。自分の業務圏内にある情報でも活用できる情報はたくさんあります。
まず最初にやる事はリードチャネル(流入経路)の確認です。
要はその顧客と自分が最初にどこで出会ったかですね。今回は既存顧客は割愛して、新規顧客であった前提で話しを進めていきたいと思います。
まずは商流の最上流「流入経路」を把握する。下流に位置する「成約」までの流れを把握して、紐解いて、データ解析していく。
これが【営業目線のマーケティング術】今回の3ステップです。
・お問い合わせがきて出会った顧客
・展示会で名刺交換をしたのがきっかけ
・電話営業からはじまった案件
など、「どんなところから成約に結びついているか」この辺りは皆さん肌感覚で感じているところだと思います。
ここを客観的に数値する事で、新規の営業活動のどこに時間を割いていく事が効果的かを改めて把握する事ができます。
例えば「お問い合わせからの成約率は15%」で「電話営業からは成約率3%」であったとしたらお問い合わせの新規顧客を優先させる事が効率的といえます。
最初の接点がどこにあるのか、そこからの成約率を考えて、もっとも効率の良い案件に対して時間を配分して使っていく事ができます。
STEP2:商流の流れと工程を把握する
これは顧客と出会った後(流入経路)、どのようなルートを辿って成約まで結びついたかという「流れ」を確認する作業です。
「今月クライアントAに、製品Bを販売した成約案件」があったとして、そこには商流の流れ、工程が必ず存在しています。
また逆に「クライアントCへ、提案していた製品Bの失注案件」にも、同様に商流の流れと工程が存在しています。
うまくいった。うまくいかなかった。双方の商流の流れ、工程、接点ポイントを対比してより多く見つめ直す事で、案件にその反省点を活かして商談や提案精度を高めていく事ができます。
結果の出たものと、出なかったものを対比してどこに違いがあったのかを検証する事がSTEP2となります。
STEP1もSTEP2も、まずは1つの案件だけにフォーカスして見てみると簡単にパターンデータの解析が可能です。
日々の営業活動を行いながら、抱えている案件、終了した案件を少しづつ検証していければ通常業務への負担も少なく解析を実施していけます。
【事例1:成約案件例】クライアントAに、製品Bを販売
・最初の接触は3年前に出展した展示会で名刺交換
・1回目の商談。ニーズはあったが時期尚早との事で案件化には至らず
・半年に1回定期的に連絡
・半年前に出展した展示会に再来場
・2回目の商談。案件化→商談重ねて→見積もり提出
・成約
【事例2:失注案件例】クライアントCに、製品Bを提案
・最初の接触は半年前にWebページからお問い合わせをもらった
・1回目の商談。案件化→商談重ねて→見積もり提出
・失注
こういった結果を、ただ運と考えて終わるか、運以外の要素と考えて検証するかで営業成績は180度変わってきます。流入経路の確認から、商流の流れと工程にミスがなかったかをチェックする。このようなPDCAを回していく事で確実に商談精度は上がっていきます。
もう一点、これを失注案件として終わらせるか。フォロー案件としてリードナーチャリングを続けていくか。この判断も重要になってきます。
では、リードナーチャリング案件にするか否かの判断、結果の運以外の要素として検証できる一番の材料とは?
それは「ペルソナ」です。
STEP3:流入経路と接点ポイントの土台に「ペルソナ」を置く
ペルソナとは、自社製品の顧客ターゲットの設定です。
ペルソナについてはこちらの記事「リードナーチャリングの土台はペルソナ設定「感覚ではない明確な定義」を」でご説明しています。
「顧客は誰なのか?顧客は何の課題を解決したいのか?」ここは流入経路を見る時も、商流の流れを解析する時でも、データ解析の側にいつでも置いておく事が大事です。
ペルソナと流入経路や工程の関係性
流入経路
↑
ペルソナ
↓
商流の流れと工程(接点ポイント)
顧客ターゲットとなるペルソナと離れていれば、いかに成約率の高い流入経路で入ってきても、商流の流れのクオリティが高くても成約には遠くなります。
よく展示会で言われるのが、当日の来場客の反応が「すぐ導入する」くらいとても良かったのに、後日営業でフォローアップしたら反応が別人のように悪かった。これは「見込みランク/確度」をペルソナではなく、感覚で見ているわかりやすい例です。
「反応が良い、悪い」や「感触が良い、悪い」など感覚的に判断するのではなく、業種、規模、職種、部署、役職、性格などからペルソナを明確に設定して、それに該当する人かどうかで客観的に判断するべきなのです。
今回の成約までのパターンデータ分析を実施して頂ければ、成約案件の顧客層はある程度パターン化でき、それがペルソナと一致している事が分かると思います。
「マーケティング思考の営業」。商流の最初と最後にあるペルソナが一致するように、分析と実施を重ねていけるPDCAが営業活動内で組み込まれている事が大事になってきます。営業活動を行う最初の工程から、顧客=お客様の形が明確に見えている事が重要なのです。
効率と効果を両立させる営業マンのマーケティング思考
ペルソナ
↓
商流の最上流=リードデータの集客
↓
商流の流れ=案件進行
↓
商流の最下流=成約
↓
ペルソナ
まとめ
世の中には天才と呼ばれる営業職の方がいます。ただ全ての人が天才ではありません。
その差を埋める為に、技術や知識を活用しようと考えるのは理にかなっていると思います。マーケティング思考と書くと、とても偉そうですが、営業職の方であれば、感覚的にでも部分部分思い当たるところもあるのではないでしょうか。
営業においてなによりも一番大事な事は、使う側の課題や、使う人の気持ちを常に考えている姿勢ではないかと思うのです。私自信も過去、凡人として営業を行って、理論や意識による技術武装で人並みの営業結果を導く事ができました。顧客を大事にしている気持ちを示す為には、実力が必要です。
この記事が皆さまの営業活動のなにかひとつでもプラスになれば幸いです。