マーケティング業界のトレンドの移り変わりは激しくMA、コンテンツマーケティング、インバウンドマーケティング、リードナーチャリングなど、様々なバズワードが日々生まれています。それに伴い、テクノロジーやノウハウも次々と世の中に出てきます。
私達のような専業の人間にとっても、流れについていく事は大変でマーケットを情報が日々駆け抜けていきます。
またそういったテクノロジーが生み出される一方で、マーケティングノウハウを活用する側と活用しない側の二極化も進んでいます。
今回はマーケティングノウハウを「活用しない・できない」企業でも営業マン1人で活用できるリードナーチャリング施策をご紹介します。
1、営業にマーケティングの概念を「見込み顧客管理」
業種や業態上マーケティングが合わない。マーケティングへの理解が社内で足りない。社風の問題…etc。などマーケティングノウハウを活用できない企業の理由は様々です。
ただマーケティングやリードナーチャリングの施策は組織だけのものだけではありません。考え方を知る事で、営業マン個人でも実施していく事ができます。
それがマーケティングの考え方を取り入れた営業活動「見込み顧客管理」です。
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見込み顧客管理とは
1、見込み顧客のランクに応じて「個」と「群」で区分けして営業手法を変える
2、すべての潜在顧客や見込み顧客に対してアプローチする
3、成約(◯)、失注(✕)になるまでフォローを半永久的に続ける
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見込み顧客管理の概念を端的に言うと上記の3点です。
全てのリードデータにアプローチする。リーチしきる。というのが根底の考え方になっています。ITツールも発達した現代だからこそできる施策でもあり、これは組織としてだけではなく、個人としても十分取り入れられる考え方です。
2、必要な準備は「名刺」の取りまとめ
見込み顧客管理を行っていくには、施策を実施していく為の「素材」となるデータが必要です。まずは今持っている名刺を集めて取りまとめてデータベース化します。
その際にランクを5段階程度(受注確度が高い順にA~Eなど)であらかじめ評価しておきます。見込み顧客のランクとは受注への距離と考えてマーケティングでのペルソナ設定や、自社の営業での見込み確度の設定方法をそのまま流用します。
仮に上記のような受注確度が高い順でA〜Eで並べると、A~Eにかけてピラミッド上のデータ数になると思います。「Aが少なく」<「Eが多い」というようなデータ数の構成になります。
出来上がった見込みランクに応じて、対応方法を決めていく事が次のステップです。
対応方法のルールはシンプルで、受注確度が高い見込み顧客へはいつも通り対面で営業を行います。
今まではフォローするか?フォローしないか?曖昧であった受注確度の低い見込み顧客へはメールマガジンやテレマーケティングで効率性を考えた形で接点を持ち続けます。
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見込みランクA〜Eの5段階設定例
A〜B【「個」の対応=対面営業で個別にアプローチ】
↑(反応よければ)
C=電話で近況確認。
↓(反応悪ければ)
D〜E【「群」の対応=一括メール送信やDMなど遠隔手法でまとめてアプローチ】
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営業には見込み顧客や潜在顧客というまだ顧客になる前の客層が必ずいます。
受注に近くても遠くても1人1人に対して、しっかりと対面営業で自社の製品やサービスの良さを伝えていきたいというのが理想です。
ただ営業活動は限られたリソース内で行わなければなりません。現実的には効率的な動きも当然求められます。これら効果と効率のジレンマに向き合った施策が見込み顧客管理といえます。
3、「個」と「群」での対応というアプローチの考え方
営業という職種上、効率という言葉を聞くとマニュアル化された温度がない感じで心証が悪いのですが、効率戦略もあらかじめ営業活動に取り入れてしまう事で、おもてなしの心も残しつつ、効率も取り入れつつ、自分なりの配合バランスで営業準備ができます。
今までの営業の質を落とさずに、厚みを出していく目的で、考え方として必要なのものが「個」と「群」という対応方法です。
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あまり受注見込みがないからといっても、見込み顧客や潜在顧客のデータをアプローチせず眠らせておくのは機会損失を生み出します。ですので対面営業できない見込み顧客への対応は「群」の営業方法でカバーします。重要なのはリーチできていない見込み顧客をつくらない事です。
今回集めた名刺の束もそうですし、見込み顧客や潜在顧客のデータの取得には必ずコスト、時間、手間がかかっています。これらデータ取得にかけたリソース(コスト、時間、手間)を結果(受注)でしっかりと回収していく意識が必要です。
「群」と「個」で対応を明確に切り分ける事で、本当に重要な見込み顧客(「個」)に時間をかけられるようにして、受注確度の低い見込み顧客(「群」)の受注確度を効率的に上げていく「個」と「群」の両輪で施策全体を回転させていきます。
「個」が営業で、「群」がマーケティングとして考えて頂くと、各々セクションの持ち回りと役割がわかりやすいと思います。
また一括りに「群」として対応をしていくよりは、地域毎/提案製品毎/ニーズ毎/などで「小群1/小群2/小群3」のように細分化し、別々の施策を実施していくと、より精度の高い施策を行っていくことができます。
ただ「個」の活動を圧迫してしまっては本末転倒ですので、全体の動きのバランスを見ながら「群」への対応の質も考慮していく事が大事です。
いつも行っている「営業活動=「個」の活動」の質を担保していく事がベースであり、優先順位1番です。そこにプラスして新しい施策を加えていくという意識が大事です。
4、「個」と「群」でのデータは常に流動的に動かす
もう一点大事な事が、見込み顧客の反応に応じてA~Eのランクをデータ上で行ったり来たりさせるという事です。
例えば、一度Eランクで設定した見込み顧客が永久にEではなく、一括メール送信を打った後にお問い合わせがあった場合はBランクに変わるといったシンプルな仕組みを導入する事です。
マーケティングオートメーションのリードスコアリングの簡易版をイメージするとわかりやすいかと思います。
「個」で対面営業できる見込み顧客の母数を増やし、データが「個」と「群」を行ったり来たりしながら、様々な施策を展開させて受注に近づけていくイメージが大事です。
5、まとめ
営業マンの大半は自分の置かれている状況を選択できません。その中で結果を出す事が求められ、活用できる資源を最大限活用しながら立ち回りを行っていく必要があります。
その中でデータは営業に最も活用できる資源といえます。見込み顧客管理は組織としても、個人としても活用できる効果も出やすく、見えやすい考え方になります。ぜひ一度お試し頂ければと思います。
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<見込み顧客管理とは>
・持っている名刺をデータベース化する
・ひとつひとつのデータに対して受注確度に応じて見込みランクを設定する
・見込み顧客のランクに応じて「個」と「群」で区分けして営業手法を変える
・ITツールも駆使しながら、すべての潜在顧客や見込み顧客に対してアプローチする
・成約(◯)、失注(✕)になるまでフォローをし続ける
・見込みランクは常に流動させる
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マーケティングや営業の施策を考える時「物理的に施策を実施する時間はあるのか」この視点は大体あるのですが、うまくいかないケースでは往々にして「施策に対して頭を使う時間はあるのか?」この視点が抜けています。
施策に対して頭を使う時間をスタート時からあらかじめ確保しておく事が大事です。