1、リードナーチャリングとは?
見込み顧客【リード】を、顧客へと育て上げる【ナーチャリング】考え方から生まれたマーケティングワードです。
リードナーチャリングの昨今の注目の高さには、マーケティングオートメーション(MA)の台頭もありますが、それ以外にも社会背景が関係しています。それは残業問題をはじめとした労働時間の短縮の義務化や、ダイバーシティなどワークスタイルの多様性です。
2、「労働時間の短縮化」義務の時代に対応する考え方
今や残業時間など労働時間の短縮は企業としての義務になります。プレミアムフライデーもこういう時代背景によるものです。
ただし生産時間が短くなったからといって、管理者は会社から、経営層は株主などステークホルダーから求められる結果は変わりません。ですので今の時代、効率性と効果の両立が経営に不可欠であり、これもまた同様に企業の義務となっている時代です。
売上数字の構築における「効率」と「効果」の側面をカバーする考え方としてリードナーチャリングの有効性が各方面で立証されています。
3、リードナーチャリングを「やらない」8割の機会損失
米国のマーケティングコンサルティングSirius Decision(シリウス ディシジョンズ)社の調査データによれば、フォローを止めてしまったリードの8割は2年以内に競合企業へ流出という有名なデータがあります。
逆にリードナーチャリングを実施できれば8割の機会損失が、売上創出のチャンスに変わります。売上数字をつくる作業の最適化という意味でも、機会損失を売上に転換させる事は理にかなっています。この辺りもリードナーチャリングが注目を集める要因のひとつです。
4、リードナーチャリング=マーケティングオートメーション(MA)
リードナーチャリングとは基本的にマーケティングオートメーション(MA)と同じ概念です。通常の営業活動でフォローしている「顧客データ」や、受注見込みの高い「見込み顧客データ」の下にある【受注見込みの低い 膨大なリードデータ】をどのようにフォローしていくかが、考え方の起点となっています。
効果的なデータ活用でいかに多くの営業案件をつくれるか?8割の競合流出をいかにストップできるか?
根本的な課題の内容はリードナーチャリングもマーケティングオートメーションも同じです。
5、リードナーチャリングはマーケティング工程の重要パーツ
マーケティングは、【集客】と【育成】の工程に大きく分ける事ができます。
リードナーチャリングはマーケティングにおける【育成】の工程と考える事ができます。
イベント出展や広告展開など、せっかく多大な予算を割いて集客したリードデータ(見込み顧客の情報)も、その後しっかりとフォローして育成しなければただの広告予算の垂れ流しになってしまいます。ですので【集客の質】に【育成の質】を加えたものが【マーケティングの質】となります。
マーケティングといえば一昔前は市場調査や集客のみという位置づけでしたが、アドテクなどの集客の技術に加えて、集客したリードデータを管理するリードデータマネジメント技術、マーケティングオートメーション(MA)のような育成自体の仕組みまで、マーケティングの枠組みもどんどん広がっています。
トレンドの移り変わりも早いので、常に最新の知識を持ち、技術を取捨選択して、施策を選択していく事自体がマーケティングスキルといえる時代に突入しています。
6、営業は地上戦
対面営業は、1社1社、1人1人の課題に合わせて個別に対応していきます。
自分の都合ばかり優先させて、効率ばかりを追っかけていては顧客から受注を取り付ける事はできません。営業は「効果」が優先です。
案件を考えていくと1つ1つが手間暇をかけたオーダーメイドでフェイスtoフェイスの「個」の対応となります。いわゆるゲリラ戦、地上戦と例える事ができます。
7、リードナーチャリング(マーケティング)は空中戦
一方でリードナーチャリング(を含むマーケティング)は空中戦と言えます。
案件化していない膨大なビッグデータ(リードデータ)を取り扱いますのでひとつひとつ個別に対応をすることができません。データ属性毎に10単位、100単位、1000単位でアプローチの種別を考える必要があります。いわゆる「まとめた」対応の戦略が基本になります。「効果」と同じくらい「効率」の目線も重要になります。
8、「効果(営業)」と「効率(マーケティング)」を連動させる
効果だけを追い求めても、効率だけを追い求めても、最大限の結果を得る事はできません。連動させる事で企業資源のポテンシャルを最大限に引き出す事ができます。
会社機能の売上をつくっていく工程で考えると「効果」を出す為の「効率」の役割でリードナーチャリングを役に立てる事ができます。
「労働時間を減らして成果を上げる!リードナーチャリング15のポイント(後編)」では、前編より目線を広げて営業やマーケティングの全体像からリードナーチャリングの立ち位置や役割を考えてみます。