今回は「マーケティングテクノロジーフェア2017大阪」のセミナーイベント概要と、「営業フォロー範囲外」の地域におけるマーケティングについての考察記事です。
目次
イベント概要
2017年の6月1日に大阪で開催されたイベントです。
展示会も併設されたイベントでしたが、今回はマーケティングのAI活用をテーマにセミナー講演だけの協賛となりました。
弊社では今、本社のある札幌市にある北海道大学とAIの共同研究を産学連携で実施しています。(参考記事:北海道大学との共同研究合宿について)
そこで生まれた技術をリードナーチャリングやマーケティング、営業活動でどのように活用していくのか。このような内容のセミナーを開催しました。
私たちのAI研究は、ビッグデータ解析や経営指針をAIが自動で提供してくれるというようなものではなく、もう少し現実的で、実用的です。
名刺やアンケート、営業メモ、見積書、請求書などの社内にある紙の情報を、AIが自動でデータ化して、SFAやMA、顧客管理システムへの情報入力作業の一切をゼロ化するビジョンを持っており、その開発の進捗状況と「紙のデータ化」によるイノベーション効果のお話しを致しました。
効果
今回のイベントでは、通常の展示会のように、リード獲得が何件、案件化したものが何件、受注が何件という短期的な費用対効果は目的としていません。
リーチできていない地域への認知度向上と、イノベーティブな新しい取り組みを発表するプロモーションの場として活用しました。
営業フォロー範囲外の地域へのプロモーション
弊社の場合、北海道の札幌市と東京の2拠点で活動をしています。
イコール営業フォローなど実際に人が動く活動は札幌市と東京都に限定されます。
何度か記事を書いていますがB2B(企業間取引)のビジネスモデルの場合、高価格、専門性、決済の観点からマーケティングだけで完結する案件は少ないので、営業介入は必須になります。
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<参考記事>
B2CとB2Bで異なるマーケティングの役割「ゴールの違い」から考察する
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例えば今回のイベントでいえば、セミナーの開催地は大阪になりますので、せっかくご縁を頂いて興味のある見込み顧客と出会う事ができたとしても、「大阪=営業フォロー範囲外」となりますので、仕事がやりずらくなる側面は否めません。
ただ今回のイベントは実験的な要素も含んでおり、今後「営業フォロー範囲外」へのマーケティングリーチの手法を検討する良い機会と考えています。
営業フォロー範囲外の地域とは
「お問い合わせをもらったけれども、支社のない地域で直接伺う事ができない」
…このような移動距離の問題で、十分なクオリティの営業フォローができずに案件化できなかったり、契約を逃してしまったり。これは意外にどの会社でも多い問題です。
すべての会社が全国各地に支店があるわけではないですよね。
リモートワークや働き方の多様性などワークスタイルの自由化が進んできた現代においても、物理的な距離は営業やマーケティングを悩ませます。
遠隔地への営業フォローができない本当の理由
この営業フォローできない問題を少し掘り下げて考えてみると、単純に支社がないから営業フォローができないという理由ではない事がわかります。
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・何度も定期的に訪問できない。
・製品単価が低くて費用対効果が合わない。
・受注確度が低いので費用対効果が期待できない。
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支社がないので営業フォローができないという理由を分解してみると、物理的な移動距離でかかるコストや、フォローする人材のリソースと、受注金額の費用対効果が計算できないから営業フォローができないという結論に至ります。
例えば、交通費や宿泊費、人件費で20万円かかったとしても、1000万円の利益が出る事が見込めれば、遠隔地への営業フォローができないという問題は解消されます。
【ではどうするか①】単価の高い商材でリーチする
まずシンプルに考えつくのが、単価の高い商材でリーチするという事です。
上記の通り費用対効果がわかりやすくなります。
ただ商材による課題解決と、市場のニーズがマッチするかどうかは別軸で検討が必要です。
【ではどうするか②】案件数を溜めて遠征する
例えば私たちの場合だと高単価な商材というのは持っていません。
そうなった場合、受注に至りそうな案件数を集めるという考え方が一番合っています。
今回のセミナーイベントの例でいうと、お問い合わせや資料請求、Webマーケティングなどその他のリードチャネルから取得したリードデータも合わせてアポイントとスケジュールアレンジを行い、6月のイベント終了後に営業フォローの遠征を実施しました。
人的リソースは営業マン1人、1週間程のスケジュールを抑えました。
まだ結果は伴っていませんが、今後ルーティーンとして定期遠征する事で、大阪が「営業フォロー範囲外ではない」状況から、通常の営業エリアとして考えられる状況にできよう進めています。
自身の権限の問題や、経営方針からリーチする商材が選択できないケースも多々あります。
そうなると単価をどうこうはできません。
決められたルール内で考えて、案件を創出する。「遠方に行く価値は自分でつくる」建設的な考え方だと思います。
【ではどうするか③】商材の受注精度をあげる
①でも②でも、結局は受注に至らなければ意味がありません。
受注精度を計算できるようになる事が一番重要です。
ここは様々な課題がマトリックスで絡み合ってきますので、これは別軸で検討する必要があります。ひとつひとつ課題を解消して商材レベルを上げていく事がすべてです。
今回の大阪セミナーイベントへの参加は、商材精度が少しずつ上がってきているので、その効果も見てみたく実施したという意図もあります。
まとめ
「営業フォロー範囲外」の地域でのマーケティングについての考察はいかがでしたでしょうか?
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受注精度✕(案件数)
受注精度✕(単価の高い商材)
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のどちらかが計算できれば、他地域展開をしてもうまくいく可能性が高いと考えています。
海外展開の場合は、これに言語や文化の問題も絡めて考えていかなければなりませんので難易度はもっと高くなります。
B2Bでも営業介入が不要で、マーケティングで成約まで完結できるレベル。わかりやすさとイノベーション要素の両立が必要です。それはまた別の記事で触れたいと思います。
国内の他地域展開に関して何かひとつ参考になれば幸いです。