シンガポールの地域性
アジアの中でもシンガポールはテクノロジーに対して非常に意識の高い地域です。
政府単位でテクノロジーのショーケースというコンセプトを掲げる程、世界中から最先端の企業や技術が集まっています。
IT分野でのアジア展開や海外展開を考えた時に、真っ先に名前の挙がる重要国のひとつに成長しています。
広さは東京23区ほど、人口500万人ほどという小さい国でありながら、東南アジアの中心拠点として、アジア進出の足がかりの拠点として多くの日本企業も進出しています。
シンガポール自体がマーケットというよりは、近隣諸国をマーケットとして捉えた時に立地条件が良い点。税制や法律を有利に活用できる事が、多くの企業が参入してきている要因ではないでしょうか。
イベント概要
「Cloud Expo Asia Singapore2017」は2017年10月10日と11日にシンガポールで開催された展示会です。
日本からも富士通さんや、KDDIさんがスポンサーとして入っているアジア全体のITイベントでした。
出展製品もデータセンターやハード関連から、セキュリティ関連、ソフトウエアまで様々なジャンルが出展されていました。インフラから末端までテーマが広いというのが第一の印象です。
ひとくくりにCloudといってもハードや、セキュリティ、アプリケーション、またはそこからさらに細分化され、様々なジャンルがあります。
日本の場合だと、ジャンルを細かくセグメンテーションして「Cloudの中でも@@系に特化した製品やサービスを集めた展示会」として開催される事が多いのですが、今回の展示会はテーマ設定が大味な印象でした。
これは海外の展示会全体に共通して言える印象でもあり、日本国内の展示会とはまた違う雰囲気があります。
海外から見るとより強く感じるのですが、日本の特長は「細かさ」です。
展示会のセグメンテーション以外にも、多くの製品やサービスの思想やコンセプト、訴求ポイントはとても細かい部分で設定されており、良くも悪くも「細かい仕事」が得意なのが日本の文化なのだと再実感できます。
それはITにおけるモノづくりでも同じ系譜を受け継いでいます。
当事者と他人事
今回のイベントは出展者ではありませんでしたので、第三者として、他人事として客観的にイベントを見る事ができました。
余談ですが、参加者としてではなく出展者として、展示会に参加していたほうが、取得できるマーケット情報の質は圧倒的に良いと思っています。
これは当事者か他人事かによるもので、どんなに意識をしても深層の真剣度が全く異なるのでしょうね。
経験するのと、机上で勉強するのとでは、身になるものや、経験値が全く異なるというのと同じ理論です。
展示会を通じてマーケットを知るという観点では、できる限り出展者として関わる事によって、市場調査の場として最大活用できます。
21世紀のメイドインジャパン
今は日本製の優位性は失われつつある時代です。
ただ同時に製品の品質が落ちたかというとそうではないとも思います。
勤勉な日本人によるモノづくり、メイドインジャパンが高品質である事は、今も昔も変わりないと思います。
ただ狭い視点でその高品質を運用するのではなく、もっと大きなイノベーションの中に「細かい仕事=高品質」を取り入れていく。そのような考え方が必要であり、特にITの分野においては大切な考え方になってきています。
今は品質運用のあり方がうまく評価されていないだけで、高品質を正しい方向で運用し、海外へ出荷していく。そんな視点があれば我々世代での挽回が十分可能と私は考えています。
ITツールと海外展開
ITベンダーの中にはすでに海外展開を実施していて成功している。もしくは失敗した経験を持つ企業が多数あります。
またこれからの海外展開を視野に経営を行われている企業もたくさんあります。弊社もそういった企業の中のひとつです。
様々な国へ訪問するうちに、ITツールと海外展開をテーマに考えた時に必要な事がいくつか感じる事ができています。
そのひとつがマーケティングの重要性です。
マーケティングの重要性
海外に出るという事は日本語が使えない事が大前提になります。
これは同義語として営業力が低下するという事が言えます。
これは日本の特長である「細かい仕事=高品質」を伝える事ができなくなる事を意味しています。
「細かい仕事」が得意な日本という話しを前述でしましたが、これを説明する為のツールとして、良い意味で定義が曖昧な「日本語」は非常に適しています。絶妙なニュアンスを伝える事に長けている言語なのです。
大量生産で言語なく日本の高品質を伝えれていた時代とは違います。
製品設計の段階からマーケティングと同時並行で考える必要があり、「日本語が使えない=細かさは伝えられない」。それでも勝負できる訴求ポイントを有した製品を構築する必要があります。
IT製品という特性と掛け合わせて見ると、マーケティングレベルでわかりやすく、かつイノベーティブな特長を訴求できる。
またスケールするかしないかが視点として必要になりますので、大きなイノベーションを訴求しながらも、日本ならではの「細かい仕事=高品質」をどのように表現していけるかが海外展開の生命線のように感じています。
まとめ
我々世代の課題は、メイドインジャパンの定義そのものの再構築であると感じました。日本という国のモノづくりをどのようにブランディングしていくか。
業界全体で取り組んでいかなければならないテーマです。
今回のシンガポールでの展示会を見ていてそんな事を感じました。