前編では、リードナーチャリング(育成)とリードジェネレーション(集客)がマーケティング工程の両輪であり、現代のマーケティングでは連動している関係にある事を解説しました。
またマーケティングにおけるよくある「負のスパイラル」と、解消する為に必要な視点。「集客」の課題として見えているものが、実は「育成」の工程で解決できるかもしれないという可能性の内容を展開しました。
後編ではその具体例からご紹介します。
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目次
1、リードナーチャリング=見込み顧客育成 <前編>2、リードナーチャリングが自社で必要なのかどうかを客観的に検討する <前編>3、リードナーチャリング「育成」で「集客」の課題も解決する <後編>4、リードナーチャリングの特徴と施策の手法を知る <後編>─────────────────────────────────
3、リードナーチャリング「育成」で「集客」の課題を解決する
昨今、リードナーチャリングが注目された一番大きな理由として「受注までの顧客の検討期間の長期化」と言われています。自社の製品やサービスを購入してもらいたいタイミングと、顧客が製品やサービスを購入したいタイミングに大きなズレが出てきてしまっており、その溝を埋める為にリードナーチャリングが必要になってきたという図式です。
わかりやすく言うと、今までは3ヶ月の期間で製品検討していたものが、今は1年間の期間での製品検討となったというような意味ですね。ですのでリードジェネレーション(集客)で見込み顧客と接点を得た後、過去3ヶ月で結果が出ていたものが、今では、結果が出るまでに1年間かかってしまうようになってしまったという内容です。
ですので前編でも話しに出ていたように、マーケティング効果が出ていない場合に考えられるケースとして、効果が出ていないのではなく、ただ即効性がなく「出ていないように見える」可能性もあるという事です。
そのケースであれば下記のような負のスパイラルに陥ってしまうのはもったいないですよね。
よくあるマーケティング「負のスパイラル」
施策開始から効果まで「時間軸の認識」が短い
(リードナーチャリング(育成)の概念がない)
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リードジェネレーション(集客)
↓
結果が出ない
↓
予算や人的リソース削減
↓
獲得リードデータ/量の減少/質の低下
↓
さらにマーケティングで結果が出ない
↓
さらに予算や人的リソース削減
↓
さらに獲得リードデータ/量の減少/質の低下
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施策から効果までの時間軸を長く意識する+リードナーチャリングを取り入れる事で、様々な事象が解消されて、結果「集客」の課題までも解決できる事もあります。効果が「減ったのではなく→時間がかかる」時間軸の想定が違うだけで、大げさな話しではありますが、未来が変わり、プロセスも結果も全く異なったものになる事もあるのです。
マーケティングの「正のスパイラル」
施策開始から効果まで「時間軸の認識」が長い
(リードナーチャリング(育成)の概念がある)
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リードジェネレーション(集客)
↓
結果が出るまでに時間がかかる ←「結果がでない」ではなく…
↓
リードナーチャリング(育成)
↓
集客と育成の両チャンネルからホットリード(優良見込み顧客)創出
↓
リードジェネレーション(集客)
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このように、「集客して結果」だけではなく、「集客して結果」+「育成して結果」の2つをマーケティングの意識としてもつと施策に厚みが出てきます。ひとつの意識を変える事、選択を変える事、判断を変える事で結果が変わってくるのもマーケティングやリードナーチャリングの特長と言えます。
4、リードナーチャリングの特徴と施策の手法を知る
集客をしてから結果が出るまでに時間がかかるという事は、それだけ見込み顧客に、長い間忘れられないようにするアプローチを展開しなければなりません。放置していたのでは忘れられ、それこそ「リードナーチャリングを実施しないと8割が競合他社へ流出」という有名なデータの通りになってしまいます。
ですので、集客だけではなく、育成の工程をマーケティング全体のシナリオに組み込み、予算も人的リソースも良い案配で分配しなければなりません。
また集客は集客、育成は育成と分断して実施するよりは、ミルフィーユのように集客施策と、育成施策が絡み合ってくるようなイメージが正解だと思います。
(集客)と【育成】をミルフィーユのように挟み込むマーケティング施策
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(集客)展示会来場
↓
【育成】メールマーケティングでセミナー案内
↓
(集客)セミナー受講
↓
【育成】リマーケティング広告でアプローチ
↓
(集客)自社Webページで集客/お問い合わせをもらう
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●【育成】で活用できるリードナーチャリング手法
・メールマーケティングやテレマーケティングを絡めたインサイドセールス
・Webトラッキングを絡めたコンテンツマーケティング
・リマーケティングなどのアドテク
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(集客)と【育成】を絡めたマーケティング全体の施策のイメージは上記のような形です。【育成】リードナーチャリングで活用できる手法もざくっと書き出すとインサイドセールス、Web、アドテク3つの手法が主になってきます。営業が「個vs個」の商談となるのに対して、リードナーチャリングを含むマーケティング施策の場合は「vs複数」になるケースがほとんどですので、ひとつひとつとというよりも、多くのデータに有効にリーチする為、メールやWebやアドテクを活用します。
ここまでは簡単そうではありますが、リードナーチャリングでは、データ・ドリブン(データ分析)の考え方が必要で、リードジェネレーション(集客)とリードナーチャリング【育成】の両輪をつなぐシャフトのような役割となる「リードデータマネジメント」への準備と対策が必要になります。
ですので、「リードデータマネジメント」を起点に、『【育成】で活用できるリードナーチャリング手法』を選択していく必要がありますので、見込み顧客や潜在顧客の情報「リードデータ」のマネジメントにも力を入れていかなければリードナーチャリングの効果的な実施はできません。
5、見込み顧客や潜在顧客の情報「リードデータ」の特徴を知る
リードデータはいわゆる受注の種です。分解して考えていくと全ての受注・契約・成約は100%リードデータの中から生まれます。ただ全体の量でいうとかなりの数になるビッグデータでその中で日々毎分毎秒、情報のステータスが変わります。このステータスの移り変わりについていけずにデータマネジメントが頓挫するケースがリードデータの取り扱いにおいてほとんどです。
ですので
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「リードデータマネジメントの失敗=リードナーチャリングの失敗」
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と言っても過言ではないと思います。
まずはこれらの情報をしっかりとマネジメントできる体制づくりと意識が大切になってきます。リードデータの取り扱いの勝者がリードナーチャリングの勝者となるのです。先程の集客と育成のミルフィーユのようなデータマネジメントは、マーケティング専門用語でいう見込み顧客や潜在顧客の接点情報の結合「リードデータマージ」と呼ばれます。また展示会来場やセミナー受講、Webサイトでの資料ダウンロード履歴のような大枠の接点を「リードチャネル」と呼びます。
リードデータがマージ(統合)されたデータベースをもとに、その情報をリードチャネル(接点)の繋がりからデータドリブン(分析活用)して、リードデータ(見込み顧客/潜在顧客)が求める情報を、適したタイミングで的確に届ける為に、様々な手法で施策を展開する。
アプローチ手法というよりは、リードデータ(見込み顧客/潜在顧客)に対する情報のアウトプット最適化のような考え方がリードナーチャリングの意味と考えるとわかりやすいかもしれません。
この辺りの情報マネジメントのノウハウが弊社の得意分野でもありますので、お時間あれば動画やWebでより詳しく解説しておりますのでぜひ御覧くださいませ。
動画でわかる「サスケのリードデータマネジメント」サスケのリードデータデザイン力とは【まとめ】
リードナーチャリング施策を実施する前の意識付けとして、リードジェネレーション(集客)とリードナーチャリング(育成)の両輪をつなぐシャフトのような役割となる「リードデータマネジメント」への準備と対策の必要性を考慮しておきましょう。リードデータマネジメント起点に、様々な手法を駆使して施策を展開していく考え方が大切です。ぜひリードナーチャリング実施前に参考頂ければ幸いです。