第14話:ずる賢さも必要
サッカー王国ブラジルの “マリーシア”という言葉をご存知でしょうか。
良い意味のずる賢さ=勝つために、情報戦・心理戦・時には常識外れのプレーで、相手を煙に巻く頭脳プレーの事です。
特に、強い立場の人間に対して、頭を使って対処したり、懲らしめるという生き様や価値観から来ている言葉のようです。
人間としては、紳士淑女でありたいものですが、いざ勝負となった時は、特に弱い者に必要になるものだと思います。
◆サッカーのマリーシアの例◆
サッカーには反則にはならない、ずる賢い“手口”があります。
・ リードしている試合後半に、パス回しやライン際でボールをキープし続ける遅延行為
・ リードしている試合後半に、ラインから遠く外にボールを出し、時間を稼ぐ遅延行為
他にも沢山ありますが、2つ目の手口は、20年程前からプロのサッカーでは、別のボールをすぐに投入する対策がとられ、使えなくなりました。
ただし手口というのは、ルール改正や対策がとられるまでは使える常套手段だと言えます。
◆ずる賢くない人にでもできる◆
テレアポを客観的に見た時にわかるアポが獲れる人・獲れない人の違いは、コラムでこれまでお話した「型(スクリプトなど)が用意されてるかいないか」で、その次に言えるのは、「誠意とずる賢さ」じゃないかと思います。
型・誠意・ずる賢さは共に、元々の個性とは違って、必要性を理解さえすれば、誰にもでもできるからです。
型は大まかな方向性であって、そこから延びて行くには、型から派生した「手口を編み出す事」のような気がしていました。
そこで、ずる賢くない人にもマネできる考え方や、ずる賢い手口をまとめたいと思います。
◆考え方「誠意とずる賢さのバランス」◆
最初は考え方のお話です。
誠意があるのにアポが獲れない場合、理由はおそらくこうじゃないでしょうか。
すべて親切にやりすぎてしまうためです。
相手の質問に親切にあれこれ答えたい。または、商材に感心を持ってもらいたいという気持ちが通話時間を長くしてしまい、クロージングを打ちそびれる事が増えます。
説明しすぎたために、商談しなくてもいいと思われてしまう残念なケースです。
反対に、ずるさばかり先攻する馴れ馴れしいテレアポが、自分に掛かって来ても嫌ですよね。
そんな人とはすぐには会って上げようとは思いませんから、そのバランスが大切でしょう。
◆考え方「誠意でフリ、ずる賢さでオチをつける」◆
アポを効率的に獲るためには、誠意をフリにして、いかに通話時間を短くして手口で相手を落とすか。
お笑いのフリとオチのようなものだと思います。お笑いも今や2~3分のネタが主流の時代です。
テレアポもお笑いも、フリを短くしてオチをつけると、お客さんから良い反応がもらえると思います。
なので、どちらも“ショートカットの手口”があれば、より良くなるはずです。
◆考え方「相手に都合よくて、自分にも都合よい事をする」◆
テレアポは、通話時間を短くするために、知ってる事を全部伝える事ではないのかも知れません。
伝えるべき短い言葉と誠意をフッたら、気にするのは相手の感心のポイント(ヒアリングと分別)だけだと思います。
そして、ポイントだけ押さえて早くクロージング(オチ)を打てた方が、早く電話を切りたい相手にとっても自分にとっても都合がいいんです。
両者の都合の良さを考える事は、良い手口を編み出すためのテーマだと、私はテレアポしながら思っていました。
手口は沢山あるのですが、初歩的なものから書いて行きたいと思います。
◆手口「都合のいい便利な言葉を3つ並べる」◆
これは、有名な「イエスセット話法」です。
3回続けて「はいorいいね」などを言わせると、4回目の言葉にも同調しやすくなるという、営業でよく使われる心理学を用いた手口です。
人間は、3回イエスを引き出してくれた相手を、味方だと思う傾向があるんです。
これは既にスクリプトに取入れられてるとは思います。
例えば「弊社ならではのサービスですよ」という意味の一番の売り文句があると思うんですが、その前後に並べられた、商材を良さ気に言うための簡単な言葉です。
言い回しはいろいろですが、「簡単」「きれい」「効率的」「手間がない」「安い」など。これらを2~3つどこかで並べます。
これらの言葉は、商材を良さ気に見せる意味と、相手がどの当りに感心があるかを分別するためにフッておくという意味もあります。(詳しくは後で書きます。)
そしてクロージングの時にも、イエスセット話法を応用した、立て続けに言うと便利な言葉があります。
クロージングの際の便利な言葉の例と解説
・ 「(商談は)30分程度で結構です」
→(通常の商談よりも)お気軽さを強調。
・ 「買う買わないは別にして」
→売るよりもアポを獲るのが優先という意味が大。
・ 「情報提供」
→知って損がない事を強調。
・ 「ご挨拶に」
→相手もこう言われると邪険にできない良い言葉。
・ 「その日、お近くを回っている」
→距離的な親近感を匂わせる。
・ 「●●さんにも先日…」
→相手の知っている人の名前を出して安心と親近感。
・ 「情報交換に」
→(BtoBの場合)相手の逆営業を誘い水にする。
これらの2~3つを組み合わせてから、「会いませんか?」と言います。うまく行かない時は、相手の傾向によって組み合わせや言い回しを変えます。
◆手口「ニーズが分かったら全部話さない」◆
もし相手が「商品力」「価格」「他社商品との違い」などに感心を示す反応をしたら、それをエサに、「詳しくは商談で」とショートカットします。
一番短かい通話の例ですが、上でお話した「簡単、きれい、効率的、手間がない、安い」などの簡単な言葉でも、感心のある人は、言葉にいちいち「うん」「ほぉ」と反応します。
そこで相手のニーズがどの辺りなのかの分別もできます。後は、こちらの一番の売り文句さえ言えたら、相手の一番知りたそうな事は全部は言わずに、商談に取っておくと言う訳です。
もしクロージングをした時に、「それならいいや」と断わられる場合は、まだ相手の最低限のニーズをクリアして上げられなかったんだと思います。
ポイントとしては、相手の食いつき度合いでクロージングのタイミングを前後させるか、もしくはニーズをある程度クリアするために、優しくて簡単な2~3つの言葉を立て続け言ってあげてから、「詳しくは商談で」と持って行くのが良いと思います。
◆手口「相手にカレンダーを開かせる選択と間(ま)」◆
テレアポのクロージングは、「会いませんか?」という意味の言葉で閉めると思うんですが、「会いませんか?」とか「ご都合良い時間があれば…」と言うと、「会う・会わない」「時間がある・ない」の二者択一なので、相手に「NG」と言わせてしまう余地が大きいと思います。
その際に便利だった言葉と間です。
「●曜日~●曜日の午前・午後、ご都合のよろしいお時間帯に」
「もしご都合がよろしければ、朝早いお時間や夕方以降のお時間でも…(と言って笑う)」
「●●さまの一番ご都合のよろしいお時間にお伺いします(と言って笑う)」
※そして、5秒くらい黙ります。
話題を「会う・会わない」から、微妙にズラして「曜日と時間帯の選択」にします。そして、カレンダーをまず開いてもらおうという訳です。
ポイントは、ニーズが少しでもあるならすかさず言う事。
もし相手が「会わない」ととりあえず答えたかったとしても、ニーズを2~3つクリアされた後にすかさず言われると、「う~ん、感心がある反応をした手前…」、という心理がまず働くと思います。
カレンダーを開かせるというのは、少々強引な所もあるんですが、この手口のもう1つのポイントはその後の、こちらから何も言わない5秒程度の間(ま)です。
「カレンダーを開くくらいならいいか…」と、相手をその場の気まずさから逃がす意味と、「1週間の午前午後、全て忙しい訳ではないからな…」という心理を働かせる間を充分とる事です。つまりこれは、断り文句をその場でうまく言えない方からアポを獲るという手口です。
◆手口「即アポがダメでも選択させておく」◆
もし、その場ですぐスケジュールをくれない場合でも、追客してアポを獲る余地は残っています。選択させておく事で、後々のアポにつながると思います。
その際の便利な言葉と解説
「午前・午後、比較的どちらがご都合よろしいですか?」 →午前か午後と答えさせる
「比較的、ご都合のよろしいのは何曜日でしょうか?」 →曜日を選ばせる
このポイントは、話の結論を「会う・会わない」「時間がある・ない」にせず、さらに相手が答えやすいように選択させてあげる事。そして相手の口からハッキリ言わせてしまう事です。
その相手の答えは、追客架電した際のクロージングの理由になります。
「先日、お伺いした際に●曜日の午前中が比較的、ご都合よろしいと…」
「あ~、はいはい…(カレンダーを見る)」
「そのお時間帯に、お近くを回らせて頂く事が多いものですから(と言って笑う)」
「そうなの?(何度もテレアポくるし、会っておこうか)」
などという手口で、アポ候補者にジリジリ近づいて行きます。
◆最後に◆
おそらく既に使っているのも多かったかも知れませんが、さらに手口を編み出す事や、普遍的に使える手口を、型(スクリプトなど)にしてしまう事でテレアポの成果が上がると私は思います。
今回、このコラムを読んで下さった方の中には、宮海呂困襪づ曚世覆隼廚錣譴進�發い襪隼廚い泙后」
ごめんなさい。マリーシアは、サッカー(作家)には必要なんです。
◆余談◆
お笑いのネタを見た時に、天才だと思ったコンビが3組います。
フォークダンスDE鳴子坂さん、ジャリズムさん、サンドウィッチマンさんの3組です。
(前の2組は解散してしまったのですが、)3組の共通点をあげるとすれば…、
・ ネタの冒頭にすかさず突飛なボケをする(つまり、フリが短くツカミが早い)
・ どのネタでも使いまわせるギャグとも違うボケが多い(つまり、発想が良い)
・ ネタの設定とはさほど関係ないボケがいくつもあるのに面白い(つまり、構成が良い)
YouTubeで何本かネタを見られるかも知れません。よろしければご覧下さい。フォークダンスDE鳴子坂さんの「音楽補習」や、サンドウィッチマンさんの「不動産屋」のコントの冒頭が顕著な例です。見てもわからないという方、…すいません。
お笑いは、意外な事を言って笑わせるために、組み立てて(フリを十数秒作って)から意外な事(オチ)を言うのがポップな型です…。というよりも、お客さんにわからせるために、そうせざるを得ないと思います。
彼らはその型をちょっと崩して、ネタの冒頭からボケに“ショートカットする手口”を編み出した、ある意味“ずる賢い”方達なんだと思います。
その3組のネタを見た時に感じました。
・ センスが良い(物事の微妙な違いを感じとる能力=機微がある)。
・ 数あるお笑いに触れ、自分を客観的に見て、他と違う事をしようと思ったんだろう。
この3組がさらにすごいのは、使い回せる冒頭のショートカットの手口を、ネタによって変える所です。つまり、手口を編み出し続けていました。(他の例として、ナイツさんの漫才のツカミにもそれを感じます。)
彼らは、他の芸人さんとは一線を画していると思っています。
こちらも併せてご覧ください!クラウドサービスサスケ【リードに関するあれこれ】
1、今年はアウトバウンドで結果を出す「テレマーケティング」を見直す10のポイント
2、マーケティングと営業の潤滑油「インサイドセールス」を知るための10のステップ
3、営業マン1人でできるリードナーチャリング「見込み顧客管理」5つのポイント
4、インサイドセールスは「営業部」で運用する!営業スタッフへ伝えたい3つのメリット
5、働く時間を減らして成果を上げる!リードナーチャリングの概念を知る15のポイント